(一財)全日本野球協会(以下 BFJ)の中本尚 アマチュア野球規則委員会委員長ならびに小山克 仁同副委員長が大学の研究室に来られて事業を委託するに至った経緯を話された.その後,2018 年 1 月に BFJ から日本野球科学研究会宛に「日本野球界への日本野球科学研究会の科学的見地からの提言について」という依頼文書が届けられた.その経緯は,野球を日本に広く普及させたいことと, 投手の二段モーションを規則から外した根拠を科学的に示したいという内容であった. 2018 年 4 月,翌年の野球シーズンが始まる前までに提言をまとめるという業務の依頼を正式に受けた.依頼された以下 3 つの提言をプロジェクト化し,各リーダーを研究会の運営委員に打診したところ,1については宮西智久委員(仙台大学), 2については松尾知之委員(大阪大学),そして3については馬見塚尚孝委員(当時:西別府病院) が担当してくれることとなった.そしてリーダーには,必要であれば研究会内から協力者を募って 進めるようにお願いした.
1.スポーツ社会学の視点からのスポーツアス リートを育成するための提言
スポーツマンシップ,マナーなどスポー ツが持つ人材育成の視点から,今後日本野 球が良き発展を目指し,選ばれる競技になっていくための道しるべとなるよう,ご提案 をお願いします.
2.投手の投球動作について,科学的視点から の提言
スムーズな投球動作ではなく,二段モー ションや,自由な足を一度上げて動作を止めたりすることの科学的視点からのご提言をお願いします.
3.障害予防の視点からの提言
ジュニアからユースまでの選手の育成, 野球障害の予防,安全管理についての選手の育成方法についてのご提言をお願いします.
各プロジェクトでは,プロジェクトリーダーを 中心に検討を進め,最終的にはプロジェクト単位でまとめたものを統合し,報告書として提出することとした.2018 年 12 月,日本野球科学研究会 第 6 回大会(筑波大学)で経過を報告し,2019 年 3 月に最終報告書を BFJ に提出した.2020 年 2 月には内容を公表する許諾が得られたので,各プロジェクトから概要について説明していただくこ ととした.なお,報告書の全容は以下に掲載している.
平野裕一
プロジェクト2
投手の投球動作についての科学的視点からの提言
松尾知之(大阪大学),中本浩揮(鹿屋体育大学),
神事努(國學院大學 ,NEXT BASE),森下義隆(国立スポーツ科学センター),
蔭山雅洋(日本スポーツ振興センター)